漢方豆知識

第125話　『緑内障』

　緑内障は視神経に異常が起こり、視野が狭くなり、部分的に見えない場所ができてしまう病気で、日本人の中途失明原因の１位です。
　目の中にある房水が眼内圧を保っていますが、この房水の排出が滞ると眼圧が高くなり、視神経を圧迫して緑内障を発症します。排出口が異物などで詰まる開放隅角緑内障、排出口付近が狭く塞がっている閉塞隅角緑内障、日本人に多いのは眼圧が正常値なのにもかかわらず緑内障を発症する正常眼圧緑内障です。
　眼圧が高い場合には、房水の排出を促すために、水はけを良くする漢方薬を選びます。そして、目に潤い成分、血、酸素を送り届けるための補陰作用、補血作用のある漢方薬で、ダメージを受けた視神経を守り、目の働きを補います。
　「飲む目薬」と異名を持ち、体まるごと元気にしてくれる杞菊地黄丸、滋腎明目湯、洗肝明目湯などは様々なタイプの緑内障に広く使用されてきた漢方処方です。


令和7年2月7日　足立よみうり掲載　店主　国際中医師　阿部佐知子