漢方漫歩INDEXへ 体質で「実熱」と「虚熱」の二種
前回は、病気の性質が寒性か熱性かで、使う薬も違ってくることを、舌診の角度から説明した。今回は、熱性がさらに「実熱」と「虚熱」の2つに分けられることに触れてみたい。
エネルギーが過剰な人や急性炎症の初期、酒や辛味など体を温めるものを多くとる人は、体内に熱エネルギーが停滞し、体全体の熱っぽさ、精神のたかぶり、皮膚炎といった熱性の症状が出やすい。そのもとになる熱は、体力のある人によく見られるので実熱という。
一方、虚弱体質の人や、急性もしくは慢性疾患で衰弱傾向の人は、栄養分、水分(体液)の消耗から体全体のバランスを崩し、のぼせ・ほてり・口の渇き・微熱といった症状が現れやすい。これは体を冷やす作用のある水分が不足して、熱エネルギーを抑制することができず、体温が上昇したことによるもので虚熱という。更年期や自律神経失調症、放射線治療などの際によく見られる。 実熱では舌の色が濃い赤で、舌苔は黄色くなる。虚熱でも舌の色は赤くなるが、水分が消耗するため舌苔はごく薄かったり、まったくなくなり、時には鏡のようにツルツルになる。ひどい場合には、舌の溝のようなヒビ割れが出てくることもある。
虚熱の治療には、抗生物質や漢方薬の解熱剤は無効だ。このような場合は、不足した水分(体液)を補い、微熱を除去する作用のある瀉火補腎丸がよく使用される。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/07/04