漢方漫歩INDEXへ 瀉火補腎丸体潤し余分な水湿除く
いよいよ夏本番である。暑さによる発汗のため、この時期の体は水分不足の状態になりやすい。
中国漢方では、水分(津液)が不足して体に潤いのない状態を陰虚という。陰虚(いんきょ)状態では、口の渇きに加えて、のぼせ、ほてりなどの虚熱症状を訴えることが多い。
このような人がノドの渇きにまかせて水分を取り過ぎると、腎臓の働きが弱っている場合には余分な水分(水湿)が体内にたまって、尿の出が悪い、倦怠感、むくみなどの症状が現れる。この場合、一方では潤いが不足し、他方では不要な水湿が停滞しているといった矛盾が、体内に生じているわけである。
中国でも夏はスイカをよく食べる。スイカは体を潤すと同時に、利尿作用によって水湿を取り熱を冷ますことで、これらの矛盾を同時に解決してくれる。まさに夏ならではの食べ物なのだ。同じように、体を潤し、余分な水湿や熱を取り除く漢方薬に瀉火補腎丸がある。体液の消耗を地黄(じおう)・山茱萸(さんしゅゆ)などの生薬で補い、体液不足から発生した虚熱を牡丹皮、知母(ちも)・黄柏(おうばく)で、水湿を茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)などで取り除く補腎(腎の強化)薬の仲間である。体液不足による虚熱症状(脱水症状など)と余分な水分の停滞(むくみなど)が同時に現れるのは、上記のほかにも、糖尿病、高血圧、慢性腎炎などでよく見られる。いずれも瀉火補腎丸が使われるケースが多い。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/07/18