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「衛気」と助け体表を温める桂枝湯

 夏になると急増してくるのがクーラー病である。生活を快適にしてくれる文明の利器も、オフィスのOLや家庭のお年寄りにとっては大敵らしい。
 クーラー病を漢方の対場から見ると、こうなる。
 漢方の基本的な考え方の1つに、「気」の存在がある。体内を流れる生命エネルギーであり、気が滞ると病気になる。体の表面を巡っている気は「衛気(えいき)」と呼ばれ、体を守る最前線にあって保温や汗腺のコントロール、病邪の侵入を防ぐ働きをしている。
 クーラーによる冷えは、体表の毛細血管を収縮させて血行不良を招くとともに、衛気の流れを悪くし、外邪から体を守る防衛能力を著しく低下させる。衛気の滞りは、体の表面の冷え、寒気といった症状以外にも、くしゃみ、カゼ、下痢、倦怠感、生理不順、関節痛などさまざまな体の不調となって現れる。
 この衛気の滞りからくる諸症状に対して、中国漢方はさまざまな治療法をもっている。
 衛気を助け、体表を温めつつ発汗によって冷気を体外に押し出す作用をもった薬といえば、桂枝湯がその代表格である。冷えに加えて、下痢や食欲不振を伴う時には桂枝湯(けいし)+香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)、関節痛やリウマチの人には桂枝湯+活絡丹(かつらくたん・・現在入手不可)、冷えからくる生理困難、生理痛などに悩む女性には桂枝湯+婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)といった具合に、一人一人の症状に合わせて薬を選ぶべきである。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/07/25



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