漢方漫歩INDEXへ 「釣藤散」がストレスの熱鎮める
怒りは肝を傷つけ、喜びは心、悲しみは肺、恐れは腎、思い悩むと脾(消化器系)を傷つけるといったように、中国漢方では喜怒哀楽の感情と各臓腑との間に強い強いつながりを考えている。精神的なストレスの影響を、最も受ける臓腑は肝である。
前回は、ストレスによる肝の負担が、脾に影響して起きる胃腸機能失調について触れた。
一方、ストレスによる緊張状態が長く続くと、気の滞りが「肝熱」「肝火」といった熱症状を生むことがある。
堆肥を長く積んでおくと、内部に熱がこもって、燃えだすことがある。
それと同じように、精神的なうっ積状態も長く放置すると熱を帯び、ひどくなると火に変わるのだ。気分転換などによって、ストレスの解消に努めることの必要性もこのへんにあるといえる。
こうした熱症状は、比較的体力のある人で、病気でいうと更年期障害、自律神経失調症、高血圧症、結膜炎などの時によく見られる。怒りっぽい、イライラ感などの情緒の乱れに加えて、顔が赤くのぼせる、目が充血する、血圧が上がる、頭痛、めまいなど頭部の症状として現れることが多い。
治療には、熱を取ったり、気のめぐりをよくする薬を使わなければならない。熱を鎮めて、肝本来の疏泄作用を取り戻すには、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)や釣藤散(ちょうとうさん)が効果をあげる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/09/12