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肌を潤し皺を防ぐ「八仙丸」

 日ごろから肌の乾燥感があって、秋の乾燥期になると、きまってカラ咳や口の渇きなどの症状がひどくなる人は、体質を考慮しなければならない。
 ポイントは腎である。中国漢方には、「腎は水をつかさどる」という考えがある。西洋医学の腎臓の働きに近く、わかりやすいと思う。もう一つ、「腎は精をつかさどる」という、漢方ならではの考え方もある。精とは、成長発育・生殖作用のもととなる大切な栄養物質(ホルモンの一部を含む)の総称である。
 生まれつき体が弱い人や、老化・慢性病の人は腎陰虚(水分・腎精の不足状態)に陥りやすい。腎陰虚はやせている人に多く見られ、口渇、乾燥肌、皺がめだつ、手足がほてる、といった症状を呈する。
 このタイプの人が秋の乾燥気候の影響を受けると、上記の様な症状に加えて、カラ咳や口・鼻の乾燥感などが出てくる。中国漢方でいうところの「肺腎陰虚」の状態である。
 中国には腎陰虚の代表的な処方である六味地黄丸に、肺を潤す作用のある麦門冬・五味子を加えた八仙長寿丸という薬があって、肺腎陰虚の改善に用いられる。また、肌を潤し、皺を防ぐことから、中国では不老長寿の薬として古来珍重されており、日本には八仙丸という名前で輸入されている。
 ゼンソクやアトピーなどで、この時期に皮膚が乾き、症状が悪化する傾向の人にも、八仙丸は応用できる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/10/24



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