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温性の食物で寒さ乗り切る

 寒さの厳しい冬の北京では、シャブシャブをよく食べる。日本では牛肉を使うが、中国では羊の肉と相場が決まっている。羊肉を串に刺して焼いた、中国風焼き鳥ともいえるシシカバブーも、庶民の食べ物として人気が高い。
 肉類のなかでも、羊肉は体を温める作用が特に強い。寒い季節、中国人が羊肉を好んで食べるのは、それによって体を温め、寒さに負けない体力をつけるためである。
 中国漢方では食べ物を、温める作用をもつ、冷やす作用をもつ、どちらでもない、の3つに分けている。冬はニラ、ニンニク、ショウガのような温性の野菜や肉類を食べることで厳しい寒さに対応し、夏は瓜類や緑豆のように寒の性質をもった食べ物で暑さに対応する。
 薬膳といえば、日本では漢方薬を使った料理と理解されがちだが、それだけではない。口にするものすべて薬という“医食同源”の考え方が根づいている中国では、肉や野菜の性質、食効をうまく利用して健康増進に努める。これも立派な薬膳である。
 約2000年前に著された漢方の古典「金匱要略」のなかに、当帰生姜羊肉湯という処方がある。体を温める作用の強いショウガと羊肉に、補血剤の当帰を組み合わせた処方で、虚弱タイプの人の体力増強、下腹部に冷えや痛みを伴う婦人病などに効果がある。
 当帰とショウガの入った漢方薬では当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)があり、冷えや痛みに用いられる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/11/21



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