漢方漫歩INDEXへ space

湿、熱除いて二日酔い解消

 忘年会シーズンもたけなわ。深夜の街角や駅構内では、泥酔客をよく見かける。
 中国では、アルコール度数が60度以上もある白酒(ばいちゅう)がよく飲まれるが、飲み過ぎで路上で醜態を見せるような人はまずいない。社会通念上、非常に恥ずかしいこととされている。
 一方、日本ではビールや水割りなど、度数の低い水っぽい酒が好まれる。それにもかかわらず、路上や駅のホームで吐いている姿をよく見かける。
 日本人は、アルコールと一緒に水分を取り過ぎる傾向が強いように思う。ビールや水割りなど冷たいものを飲み過ぎると、胃腸の働きが低下し、水分代謝も滞る。水分吸収がうまくいかず、お腹がポチャポチャと音をたてている人も珍しくない。
 不要な水分は多いのに、身体に必要な津液は不足するため、ノドが渇く。この場合、水分を補給しても吸収できず、かえってノドが渇くという悪循環をくり返す。時には、胃内に溜まった水分を吐くこともある。漢方で、“水逆”と呼ぶ状態だ。いわゆる悪酔い、二日酔いである。
 酒には湿と熱と生じる作用があるため、上記のような身体の状態を改善するには、体内にたまった湿(不要な水分)と熱を速やかに取り除くことだ。漢方処方としては茵陳五苓散(いんちんごれいさん)をよく使う。茯苓(ぶくりょう)、猪苓(ちょれい)など利尿作用のすぐれた生薬に、熱をさます茵陳蒿(いんちんこう)を加えた処方で、悪酔い、二日酔いを解消してくれる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/12/12



ご質問・ご相談など、お気軽にメール下さい。