漢方漫歩INDEXへ 六味地黄丸で春の病気予防
1年のうちで日照時間が最も短いとされる冬至。日本にはこの日、カボチャを食べたり、ユズ湯に入るといった、寒さとかかわる習慣があると聞く。
漢方独特の陰陽の考え方からすると、冬至は、自然界の陰がピークに達する時である。一方、「陰きわまれば陽を生ず」という言葉もあって、陰と陽の転換点にあたる冬至は、新たな陽が芽生え、生長を始める時期でもある。
中国漢方には、この時期「秋冬養陰」という養生の考え方がある。寒い時期に陰(栄養)をしっかり養っておかないと、陽が強くなりはじめる春先に病気が出やすいという、予防医学的な見地にもとづくものだ。
特に日頃、身体を潤す栄養分や体液が不足気味の陰虚体質の人は注意しなければならない。陽が相対的に高ぶってくるために、めまい、のぼせ、不眠、躁うつなど、春先のいわゆる“木の芽どきの病”にかかりやすくなる。
陰を養う代表方剤といえば六味地黄丸である。六味地黄丸には、腎を補い身体を潤す作用があるので、慢性の消耗性疾患や炎症に用いることができる。高血圧症、糖尿病、慢性腎炎、アレルギー疾患など、その応用範囲は広い
春先に呼吸器系やアレルギー性の症状が出やすい人は、六味地黄丸(ろくみじおうがん)に麦門冬(ばくもんどう)や五味子(ごみし)を加えた、八仙丸(はっせんがん)のような薬を早めに服用して、春先に備えることである。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/12/19