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薬効の引き出し食物の加工が発展

 生薬の加工(炮制)について、もう少し述べてみたい。
 来日した当初、驚いたのが半夏の使い方である。胃を整え、吐き気や痰を除く作用のある半夏は、半夏厚朴湯や半夏瀉心湯など多くの処方に使われ、日本でもおなじみの生薬だ。
 半夏には少し毒性がある。そのため中国では、加工して毒性を和らげながら使うが、日本では生の状態で用いている。中国よりも使用量が少なく、毒性を抑える生姜と一緒に使うことが多いので問題はなさそうだが、加工に慣れた中医師にとっては気になるところだ。
 また、発汗剤として知られる麻黄には、気管支の痙攣をしずめる作用もある。この薬効を引き出すには、蜂蜜で空炒りする「蜜炙」という加工法を使う。蜜炙によって発汗作用は半減し、ゼンソクの発作を抑える作用を強く出すことができる。
 炮制のことを、古くは炮炙と呼んだ。炮とはモノを包んで焼くことであり、炙とは、肉を火の上であぶるという意味である。炮制は食べ物の加工技術を、薬へと発展させたものであり、薬食同源のゆえんもこのへんにある。
 日本では薬方の臨床や薬理面での研究が盛んで、めざましい成果を上げている。ただし、今後の発展を考えるなら、土台を支える技術者(たとえば炮制師)の養成にも目を向けてほしい。外国の文化を基礎から移入するということは、大変なことである。漢方についても同じことが言えると思う。
路京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994年3月20日



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