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気の補充と上昇慢性疲労に応用

 先日の米パニックには驚いたが、どうやらそれも一段落。われわれアジアの民にとって、米は命の網であることを、改めて認識させられた。
 今回は、その米とも縁の深い、「声について考えてみたい。
 中国漢方では、呼吸によって取り入れた自然の清気(せいき)と、米などの水穀から得られる栄養分が合体して、身体の気(生命エネルギー)となると考えている。
 気(氣)という字は、もとも气に米と書く。語源には諸説あるが、气には立ちのぼる山気(自然の気)という意味があり、米は文字通り水穀気を表し、その二つを組み合わせたものが「氣」と理解すればよいだろう。
 体内の気は、もともと上に向かう作用がある。脳に栄養を送りこんだり、内臓を引っばり上げて腹腔(ふっくう)に固定させているのも、その力である。この気が弱くなると、めまいや頭のふらつきが出たり、胃下垂や子宮脱垂、脱肛のような内臓下垂、瞼(まぶた)が垂れる眼瞼下垂などが起こりやすい。
 これらの諸症状のもとには、気の不足状態があるため、治療には補気薬(ほきやく)を用いる。代表的な漢方薬に、中国の金・元の時代に開発された補中益気湯(ほちゅうえっきとう)(丸)がある。人参や黄耆(おうぎ)など、気を補い胃腸の機能を高める生薬に、気を上昇させる作用をもった柴胡(さいこ)や升麻(しょうま)を組み合わせた処方で、現代人の慢性疲労症候群にも応用できる。
路京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/04/24



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