漢方漫歩INDEXへ 血行不良で肩こり活血化お薬で治療
来日当初、「肩こり」という言葉の意味が理解できずに困ったことがある。中国には、これに該当する言葉がないためだ。病院の外来で、肩こりの症状を訴える患者にお目にかかったこともない。
私も肩こりの経験はなかったが、日本の生活ペースに順応するにつれて、肩こりのつらさが実感として分かるようになった。
原因はいろいろありそうだが、ストレスの多い日本の生活様式が関係していることは間違いないだろう。
ストレスによって交感神経の興奮状態が続くと、血管が収縮し、血行が悪くなる。同時に精神的な緊張は、肩の筋肉をこわばらせて、肩こりをさらに助長することになる。
これは、中国漢方でいう"気滞血お"と呼ばれる状態である。つまり、緊張が持続すると気の流れがスムーズにいかず、血液循環に影響して、お血(血行不良)を引き起こすというパターンである。
治療にはいろいろな方法があるが、薬物療法では、血液の滞りを改善する冠元顆粒などの活血化お薬を主として用いる。ただし、ストレス性の肩こりは、根本原因となる気の滞りを改善しないと治療が難しい。この場合には、精神的な緊張をほぐす逍遥散や四逆散、開気丸を併用するとよい。
会社勤めの人には、OA機器などによる目の酷使から来る肩こりも多い。これには冠元顆粒に、目に栄養を与える杞菊地黄丸の溶暗薬を併用する。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/5/15