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赤小豆と鯉で利尿薬、蛋白質の補強も

 中国で夏の健康食品といえば緑豆である。熱を冷まし、ノドの渇きをいやし、利尿作用があるところから、むし暑い夏をしのぐためにスープやお粥にしてよく食べる。中国料理に使われる春雨は、緑豆のデンプンが原料である。
 日本で緑豆はあまり見かけないが、代わりに赤小豆(アズキ)を使った食物が目につく。文献で調べてみると、アズキは『古事記』にも出てくる古い食物で、赤飯やぜんざい、羊羹などに幅広く利用されている。中国よりも湿気の強い日本では、水分代謝の異常から、浮腫や尿の出の悪さを訴える人が多い。緑豆よりも利尿作用が強いアズキが好まれるのは、こうした気候風土の違いがあるのかもしれない。
 中国では、最古の薬物書『神農本草経』に「赤小豆は浮腫を去る」との記載があり、古くから利尿薬として用いられてきた。
 その赤小豆を使った処方に、赤小豆鯉魚湯(せきしょうずりぎょとう)がある。鯉と赤小豆の二つだけから成るシンプルなものだ。鯉にも利尿作用があり、腎臓病や肝硬変の回復期、妊娠時の浮腫などに使われる。
 お酢を適量入れた水で、鯉一匹(約五百グラム)と赤小豆九十グラムを約一時間煮た後、まず鯉を食べて、残ったスープを飲む。鯉にも赤小豆にも蛋白質が豊富なため、尿と一緒に体外に流出する蛋白質を補う意味もある。この際、塩などの調味料を使わないように注意すべきである。医食同源という考え方から生まれた、中国ならではの処方といえる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/7/3



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