漢方漫歩INDEXへ おりものは健康状態知る手がかり
婦人病の相談を受けた時に驚くのは、日本の女性は帯下(おりもの)についてあまり注意を払っていない点である。
漢方では帯下を、身体の健康状態を知る手がかりになるものとして重視している。中国の婦人は、日頃から帯下の色や分泌量・臭い・粘度などに敏感で、異常を感じたときには、すぐ医師に相談する。
月経前や排卵期に少量の帯下があるのは問題ないが、それ以外の時に長く続いたり、分泌量が多いのは、病理的な異常が考えられる。この場合、腰痛や下腹部の不快感を伴うことが多い。たとえば、白くて水っぽい帯下(白帯)は、慢性の炎症や身体に冷えがあることを著している。逆に、黄色味を帯びて、粘り気や臭いが強い帯下(黄帯)は、感染による炎症があったり、身体に熱があることを物語っている。
漢方では帯下を、湿による疾病の一種ととらえている。体内に湿(病理的な水分)がたまったり、炎症があると、分泌物の量が増える。その湿が熱を帯びてくると、分泌物は黄色味を帯びたり、臭いが強くなる。
サラサラして量の多い寒湿型の白帯は、脾(消化器系)の水分代謝機能の低下が根本にある。この場合には、食欲不振・下痢・月経過多などの症状を伴うことが多い。処方としては参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)を使用する。冷えが強い時には、八味地黄丸を併用するとよい。粘り気があって臭いが強い湿熱型の黄帯には、湿熱を除去する木通(もくつう)・車前子、抗菌作用のある竜胆・山梔子などを配合した竜胆瀉肝湯を用いる。
路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/7/10