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2つの生薬が作用し胃の不調解消

 ストレス社会ということで、昨今はサラリーマンばかりでなく、学童や幼児にも胃の不調を訴えるケースが増えている。
 緊張感の持続や、精神的なストレスによってもたらされる胃酸過多、胸やけ、胃部膨満感、げっぷ、胃の痛みなどの症状は、中国漢方で「肝気犯胃」といわれ、ひどくなると胃潰瘍や十二指腸潰瘍へと進行するので注意しなければならない。
 中国漢方では、ストレスの影響を最も受けやすい臓器は肝だと考えている。ストレスに抵抗して肝の気が過剰になると、肝と関連の深い臓器・胃の働きが克(こく:抑制)されて、さまざまな胃のトラブルとなって現れる。不安や緊張などの心理状態は、胃酸過多や胃粘膜のお血(血流の滞り)状態を引き起こす一方、胃壁を保護する粘液の分泌を減少させて潰瘍の原因ともなる。
 こうした症状を解消してくれる漢方処方に、烏賊骨(うぞっこつ)と延胡索(えんごさく)という二つの生薬から成る快胃片という薬がある。烏賊骨はイカの骨状の内殻で、年配者の中には、これを粉末にしたものを止血剤として切り傷などに使用した人がいるはず。止血作用以外にも、胃酸を中和する制酸作用、荒れた胃粘膜の修復作用がある。一方、アルカロイドを主成分とする延胡索には、滞った気血の流れを改善することで、胃の痛みを鎮める作用がある。
 ストレス性の胃腸障害は、一度治っても再発を繰り返しやすい。そのため原因となるストレスを緩和することが大切で、精神的な緊張を解いてくれる開気丸や半夏瀉心湯などの処方を併用することをすすめたい。

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/9/4



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