漢方漫歩INDEXへ 西洋人参と野菜のニンジンは別物
先月紹介した西洋人参については、多くの問い合わせをいただいた。どうやら野菜のニンジンと間違われたらしいが、まったく別物である。朝鮮人参と同じウコギ科の植物の根で、北アメリカが原産地であることから西洋人参と呼ばれる。
高価で量も少ないことから、中国でも昔はよほどのお金持ちしか飲むことができなかった。ところが近年、国内で栽培されるようになって以来、香港、広東、上海を中心に人気が広がり、中国全土でブームになりつつある。漢方薬局や食品店には専門のコーナーがあって、これを買い求める人で賑わっている。年末にもなると、日本の相場で五万〜十万円に相当するような高額なものが、贈答品として飛ぶように売れるという。
朝鮮人参は、温性が強いため、服用後にのぼせやほてり感の出る人がいる。その点、西洋人参は性質が涼性であるため、のぼせることがない。体力の低下したお年寄りや、病後・術後の回復期には、穏やかに気を補い、体を潤す作用がある西洋人参のほうが適している。さらに、口渇や体力の消耗が顕著な糖尿病の人や、心・肺機能の弱い人、抗がん剤・放射線治療の副作用で体が衰弱して、免疫機能が低下した人に用いて効果を上げている。体力が消耗している特には、いきなり強い補気剤を用いても体が受けつけないことがある。このような時には、西洋人参のように作用が穏やかなものを服用して、徐々に体力を取り戻していくほうがいい。四季を通じて、老若男女、誰にも服用できる理想的な健康食品といえる。
路京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/09/25