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「寒さや湿気を取り除く独活」

 木枯らしが吹いて、神経痛やリウマチで悩んでいる人にとっては、つらい季節である。
 中国漢方では、気温・湿度・気圧といった気候変化や天体の運行と、病気の発病や悪化の関係を調べる、いわゆる気象医学の研究が盛んである。それによると、心臓病、喘息、リウマチなどの疾患は、特に気象の影響を受けやすいとされている。
 漢方では、神経痛やリウマチなどの痛みの疾患を、総称して「痺証」という。この"痺"とは、「つまって通じない」という意味である。体が虚弱になると、虚に乗じて寒さや湿気などの外邪が体内に入り込み、気血の流れを阻害し、痺証を引き起こすと考えている。
 これらの寒さや湿気などによる邪気を除去して、気血のつまりを通し、足腰や背中の痛み、関節痛、下肢のしびれなどを改善してくれる生薬の一つに独活がある。栽培山菜として食卓にのぼるウドのことだ。日本には「ウドの大木」という言い方があり、役に立たないものの代名詞のようにいわれるが、薬用としては、なかなかどうして有用な植物で、根茎部は古くから漢方薬として用いられている。
 この独活を主薬とする漢方処方に、独活寄生湯がある。中国唐代の古典『千金要方』に記載があり、寒邪や湿邪を取り除く独活・秦九(じんぎょう)・防風に、腎を補って足腰や筋骨を丈夫にする桑寄生・牛膝や今話題の杜仲、補気・補血作用のある党参・当帰など、去邪(邪気を取り除く)薬と扶正(ふせい:正気を助ける)薬がバランスよく配合された名処方である。日本には独歩丸という名前で輸入されている。

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/11/20



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