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「手足が冷え、体内に熱こもるケースも」

 先月、仮の熱症状、いわゆる「真寒仮熱」の証について触れたところ、読者から逆のケースはないのかという質問をいただいた。
 手足の冷えを、漢方では"蕨(けつ)"といい、通常は温補薬の服用で対応できる。ところが、冷えが表面的な仮の症状であり、体内に熱症状が隠れているケースがある。これを「真熱仮寒」の証という。
 一つは気蕨といい、ストレスや精神的なショックなどが原因で、気の流れが阻害され、体表が冷えるというケースである。緊張のあまり手足が冷たくなったり、冷や汗をかいた経験をもつ人は、けっこう多いと思う、こうした時は、気の流れをよくする四逆散や逍遥散などの処方で対処すべきであり、温補薬では効果がない。
 もう一つ、風邪や感染症などで体内に熱がこもり、外に出られない状態を蕨熱というが、この際にも手足に冷えの症状がでてくる。しかし、詳しく診察すると、舌質が赤い、歯ぐきの腫れや口臭がある、尿の色が濃いといった熱性の症状があるものだ。ここで判断を間違え、附子や乾姜など体を温める薬を使用すると、さらに熱が上がって、大変危険な状態におちいる。仮の症状に惑わされて、病気の本質を見失ってはならない。この場合は、白虎湯や黄連解毒湯などの寒凉薬を用いるべきである。冷えに寒凉薬を用いる。これを「寒因寒用」という。
 一般的な治療原則をマスターすることは大前提であるが、例外的なことにも十分通じてないと、本当の治療はできない。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/11/27



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