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「薬の発汗解熱作用を高めるお粥」

 日本には正月七日に、無病息災を願って、七草粥を食べる習慣がある。お節料理やお餅をたくさん食べて疲れぎみの胃腸を、七草粥によって整えようという、食生活の知恵から生まれたものだろう。七草には、解毒作用とともに、消化を促進し、酒による熱を冷ます効果がある。
 おもしろいことに、中国にも、この時期に食べる「ら八粥(らーばあ)」というお粥がある。旧暦の12月8日前後(新暦1月8日頃)につくるもので、仏前に供えたり、親戚や親しい人に贈る習慣がある。この日は、お釈迦さまが悟りを開いた日とされており、寺院が粥を炊いて祝ったものが、民間に広まったものだと言われている。
 ら八粥は、粥の中にクルミ、小豆、蓮の実、ナツメ、落花生などを入れてつくる。クルミには補腎・健脳作用、小豆には利尿作用、蓮の実には消化促進と精神安定作用、ナツメには増血作用、落花生には消化促進作用がある。胃腸の弱い人、お年寄り、病後・術後の人にすすめたい薬膳粥だ。
 お粥といえば、中国では朝食のメニューだが、漢方薬を服用する際にも、一緒に食べることがある。有名な古典『傷寒論』には、風邪による頭痛・発熱などの症状改善に用いる桂枝湯の服用法の一つとして、「桂枝湯を服んだ後、すぐに粥を食べるとよい」とある。つまり胃腸の働きを助け、体力を充実させることによって、薬の発汗解熱作用を高め、邪気を除去することを狙ったものだ。日常の食事も良薬とする「薬食同源」の漢方ならではの考え方が生きている。

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1995/1/8



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