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「月経不順に効く2つの生薬」

 生薬の名称の由来にはいろいろあるが、特産地の名を冠したものも少なくない。四川省から一字をとった川きゅう、マルコ・ポーロが愛した都・杭州産の杭菊花などはよく知られているが、女性と縁が深い「阿膠」もその一つ。
 阿膠は、ロバの皮を水で煮詰め、ニカワ(膠)として固めた物である。水質の良さで知られる中国山東省東阿県の地下水を使って作ったものが最上質とされ、ここから「阿」の字をとった。
 阿膠は、漢の時代には補陰(体液を補う)剤として用いられたが、現在は補血(血を補う)剤・止血剤として使われることが多い。月経不順、冷え症などの婦人病の諸症状はもとより、貧血(再生不良性貧血など)・紫斑病、血友病などの、血液病にも幅広く使われている。
 中国には、月経後に阿膠・竜眼肉・大棗(なつめ)を煎じて飲むという養生法がある。これは、月経時に血液が失われ、貧血気味になるのを防ぐためである。
 この阿膠と作用の似た生薬に当帰があり、血を補って月経不順を調整する働きがあるため、婦人病によく用いられる。ただし、当帰には活血(血行促進)作用があるため、出血傾向がみられる時には、止血作用のある阿膠と組み合わせて用いるとよい。補血作用を増強し、出血傾向を抑制するため、月経時の出血がダラダラと止まらず、貧血状態が続くような時に効果を上げる。この二つを主薬とした漢方製剤の一つに婦宝当帰膠があり、月経不順、月経痛、貧血、不妊症などの婦人諸病に用いられる。

路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1995/1/22



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