創業明治三十九年 仁生堂薬局 東京千住
2017-06-09

第28回 新緑の山裾から

6月初旬、青梅線沿線の山裾、山間を散歩しました。
新しい葉っぱたちが緑色を湛えて、清々しい風に揺れている中を歩くと、よい気分転換になりました!

この一面の緑の中にも薬用植物がいろいろと息づいています。

白い葉っぱはマタタビ

最初はこちら。葉っぱが白くなっています。
ネコが大好きな植物、マタタビ(マタタビ科)です。つるになる落葉低木です。

花は、梅の花のような可愛い花が、つるからぶら下がります。開花を遠くの虫たちにも知らせるように、葉っぱも化粧するようです。
身近なフルーツでは、キウイフルーツもマタタビ科ですね。

さて、マタタビの果実に虫が入ってコブコブになったのを、木天蓼(もくてんりょう)といい、薬用とします。
もちろん、中に虫(アブラムシやタマバエ)がいるので、ゆでるか蒸してから、よく干して、使用します。
身体を温め、血行を改善する働きがあるそうですね。

金銀花、スイカズラ

こちらの白と黄色の花はスイカズラ(スイカズラ科)。これもつる性の半落葉低木です。
花(つぼみ)を金銀花(きんぎんか)、葉を忍冬(にんどう)として、消炎、解熱、化膿性のものの改善などに用いられます。
一例をあげますと、金銀花は荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)、忍冬は治頭瘡一方(じずそういっぽう)といった漢方処方に配剤されています。
半落葉というのは、真冬も一部の葉が生きたまま落葉せずについている植物のことです。葉っぱが冬を耐え忍んでいる様子、そこから「忍冬」という名前は生まれました。
また、花が咲いたその日は白く、翌日にはクリーム色、翌々日には黄色く色が変わってゆきます。このため、一本の樹に白と黄色の混合咲きとなります。ここから「金銀花」と名付けられました。
関東平野の平地、たとえば弊社のある国立や、植物園のある小平などでは既に花がすんでしまいましたが、ここ青梅では、まだ美しく咲き、甘い香りを放っていました。スイカズラは香りも良いのです。

満開、ユキノシタ

石段を覆うのは…ユキノシタ(ユキノシタ科)。常緑の多年草です。今まさに満開まっさかりです♪
冬、葉っぱに雪が積もっても、雪の下で緑色を保っています。ちょっと「忍冬」と共通するネーミングセンスですね(笑
庭園の半日陰の場所などにも植えられます。
葉には、薄緑色の独特の模様があります。生薬名は虎耳草(こじそう)。葉をあぶって、やけどやキズの民間薬とします。
また、

写真には縦横に走る赤い糸のようなものが写っています。これはストロン(走出茎)といって、先端に小苗ができて、クローン繁殖します。
イチゴやオリヅルランでも同様の繁殖形式がみられます。

ぶらりと、キササゲ

さらに渓流沿いの道を歩いてゆくと…こんな樹も発見!
キリに似た大柄で対生する葉に、長~いサヤがぶら下がっています。
これはキササゲ(ノウゼンカズラ科)という落葉高木です。写真にはありませんが、クリーム色の花を今頃の時期に咲かせます。
ササゲに例えた長~いサヤは秋に実ります(写真のは、去年のが残存しているものです)

木大角豆(きささげ)、あるいは梓実(しじつ)の名称で、民間薬的に使用します。
利尿作用があり、腎炎・ネフローゼなどのむくみ、黄疸、胃のむかつき、皮膚のかゆみに効用が知られており、日本薬局方にも収載されています。

自然がいっぱいのところには、日本在来植物の薬草もさまざまな種類が元気よく生えておりました。
それではまた!

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